2011年9月12日月曜日

桑田、宮城で希望の歌「元気になろうぜ」

桑田ファンというだけでなく震災に対する思いを込めて。

サザンオールスターズの桑田佳祐(55)が東日本大震災から半年を迎えた11日、被災した宮城・利府町の宮城セキスイハイムスーパーアリーナでチャリティー公演を開催した。前日10日を含む2日間の本格ライブは桑田にとって昨年3月以来1年半ぶりで、同年8月の食道がん手術後初めて。「みなさま大丈夫でしたか」と気遣い、「私自身いろいろありましたが、みなさんの声援のおかげで帰ってくることができました」と感謝を込めた。

 厳かな鐘の音と大歓声が交錯する中、桑田がステージに登場だ。いつものド派手なオープニングではない。深々と頭を下げ、1曲目に選んだのは宮城県出身の歌手、さとう宗幸(62)の名曲「青葉城恋唄」だった。

 生ギターを手に歌い上げ、「お陰さまで、この日を迎えることができました。あれから半年、震災で亡くなった方に謹んで黙祷を捧げたいと思います」と語りかけ、8000人と1つになった。

 5月28日に同県内の被災地を訪問した桑田が熱望し、この日の復活ライブが決定。1万人近い収容規模を誇る同会場は、これまでコンサートやスポーツイベントに使われてきたが、震災後は被災者の遺体安置所に当てられた。7月1日に遺体が移転して一般利用が再開以降、桑田のライブが同会場の初公演となった。

 しかも、震災から半年の節目。が、しんみりしてばかりはいられない。「みなさん、ご心配おかけしました。その節は」と土下座パフォーマンス。「きょうのテーマは『私と一緒に元気になろうぜの会』です」と宣言し、いつもの“桑田節”を全開させた。

 最新アルバムの収録曲「OSAKA LADY BLUES」を宮城バージョンに替え、歌詞に地元名産品や名所を織り交ぜた。さらに元プロレスラー、アントニオ猪木(68)のテーマ曲に合わせ、客席の間を歩いてアリーナのセンターステージへ。夫人のキーボード、原由子(54)が加わり、「栞のテーマ」などサザンの3曲を続けてデュエットした。

 最新シングル「明日へのマーチ」などソロ曲に加え、サザン、KUWATA BANDのヒット曲を含めた計27曲で手術前と変わらない姿を披露し、「私にとっても再スタート。また帰ってくるからね。あきらめないで何事も、無理しないで何事も」と一本締め。終演後の会場外には“復興の光”となるべく、打ち上げ花火が夜空を彩った。